平成7年虔 研究報告 大分県産業科学技術センター
編組材料加工用道具類の開発
阿部 優
別府産業工芸試験所
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1,はじめに
竹編粗製品の製作において材料加工は重要な工程であ
る.この工程は,竹の不均一な素材の性格上多くの部分
に補助的な道具を使用して,熟練による手作業で行われ
ている.手作業の度合いは,高級品や繊細な作品になる
ほど多くなる.
しかし,現在使用されている道具類は,簡易な構造の
ため取り扱いが作業者の経験と勘に頼るものが多い.そ
の中でも材料(ヒゴ)の厚さを均一に仕上げる時に使用
するスキ銑はタ 刃物の研磨や切削角度,仕上がり厚さ等
の調整が難しく,初心者には使いづらい道具である.こ
のスキ銃について,構造の見直しを図り改良することに
より,取り扱いの容易な道具の開発を試みた.
2.問題点の抽出と対策
2.1スキ銑に必要な機能
スキ銑の用途や使用方法をもとに検討した結果,必要
な機能として以下のことがあげられる。
(a)加工材の仕上がり厚さを0.3∼5mmの範囲で調整でき
ること.
(b)切削角度を25∼35C の範囲で調整できること。 (c)刃物の取り付けタ 取り外しが容易にできること.
22 既存品の問題点の抽出
業界で現在使用されているスキ銑(F壷g.1)の構造を整理
すると次のとおりである。
22、1仕上がり厚さの調整方法
厚さの調整は9 既存品では定盤と刃物の間に適度な厚
さの竹片を挟み,その竹片の厚さを変えることで仕上が
り厚さを調整している(Fi g−2)しかし,この方法だと調
整の際刃物を固定しているボルトを一度緩め,再度調整
して締めるために仕上がり寸法が変わることがある. 2.2,2切削角度の調整方法
切削角度は,材料の硬さや刃物の摩耗状態によって調
整が必要であるが,これも厚さの調整と同じようにボル
トを緩めて調整するため,微妙な角度の調整は困難であ
り,寸法精度に問題が生じる.
従って,刃物の固定や切削角度の調整,厚さの調整な
どの機能を独立させて,それぞれを単独で調整可能な構
造にすることが必要である。
F5g.1既存のスキ銑の使用状況
F亘g.2 スキ銑(部分)
2.3 構造の検討
既存品の問題点を踏まえ,試作品の構造は厚さ及び切
削角度の調整と,刃物の固定が単独で行える方法を検討
した.
平成7年慶 研究報告 大分県産業科学技術センター
2−3.1仕上がり厚さの調整方法
竹材の厚さは刃物と定盤の間隔を変えて調整するため,
刃物か定盤の片方を上下移動させることを検討した.そ
の結果,後者の方が簡易な構造で可能であると判断し,
この方法を採用した.最終的には,定盤の下側に調整用
のボルトを取り付け,ボルトを回すことにより定盤を上
下に微調整できる構造にした.
2.3.2 切削角度の調整方法及び調整範囲
切削角度の調整は,角度を変えても厚さが変わらない
方法を検討した結果,刃先を回転軸の中心に取り付けて
回転させ,刃物の角度を変える方法を試みた.具体的に
は,ヒンジに刃物を取り付けるものと,扇型のブロック
に刃物を取り付ける方法を検討した.その結果,ヒンジ
に刃物を取り付けると刃物の左右移動が不可能となり,
刃物の一部分が摩耗した際に未使用部分を使用すること
ができなくなることから,ここではFi g.3に示すような取
り付けとした.
に移動が簡単に行えるようボルトで固定した. 2.4 試作品と加工書式験
仕上がり厚さや切削角度の調整方法を決定した後,試
作のための製作図(Fi g.4)を作製した.完成したスキ銑
(Fi g.5)の,加工試験の結果,従来のものに比べ,厚さ及
び,切削角度の調整ともに短時間で正確に調整できるこ
とが判明した.
F毒g.5 完成品
3.おわりに
従来のスキ銑に替わる,より使い易く精度の高いスキ
銑の構造を検討し,各機能を単独で調整できるよう改良
した,その結果以下の点が改善できた.
(a)仕上がり厚さの調整方法を,定盤を上下させる構造に
変更したことにより,従来のものに比べて短時間で正確
に調整できるようになった。
(b)切削角度の設定値や変更量を確認できるため,角度の
変更が正確にできる.
(c)このような点を改良したことにより,初心者でも容易
に使いこなすことが可能な道具になった。
今後、試作完成したスキ銑による加工実験を重ね、切
削精度、使用利便性を高めて業界に普及する計画である。
Fi g.3 可動体を利用した方法
F壷g.4 製作図面
2.3.3 刃物の固定
刃物は加工の際は一部分を使用し,摩耗した時に移動
させて未使用部分を使用するために,脱着が容易で左右